遺産相続、遺言の知識、準備はばっちりですか?
2014年4月16日(水)
そもそも相続って何?
相続:個人の財産的な権利や義務について、その死亡と同時に、配偶者や子に引き継ぐこと
つまり、亡くなった人の財産(家や土地、車、預貯金、株式、知的財産権等)を亡くなったことを条件に引き継ぐものです。
※義務についても引き継ぐので、借金などいわゆる負の財産も引き継ぐことになります・・・
(借金を引き継ぐことを回避したり、相続しない方法等もございます。)
一方、
遺贈:遺言に基づいて、相続人以外のものが遺産を引き継ぐこと
法律上、相続とは異なった扱いを受けることがあります。
贈与との違い
贈与は、お互いの、「お金をあげる」と「お金をもらう」という契約のもと成り立つものであり、死亡を条件に発生する相続や一方的に遺言で遺産を渡す遺贈とは区別されています。
じゃあ相続人になるのは誰??
まずは言葉の整理
被相続人:亡くなった人
相続人:財産を引き継ぐ人
法定相続人:法律で財産を引き継ぐことが決められた人
受遺者:遺言により財産を引き継ぐ人
では誰がどのくらい財産を引き継ぐの?
配偶者は常に相続人!
被相続人に配偶者がいるケースを見てみましょう。
(1)被相続人に配偶者と子どもがいる場合
相続人となるのは配偶者と子ども(実子・養子関係なく)です。
相続する財産の額は・・・
配偶者が相続財産の1/2
子どもが相続財産の1/2を子どもの人数で分け合う
・ケース1(配偶者と子どもが1人の場合)
配偶者:1/2
子:1/2
・ケース2(配偶者と実子2人と養子1人の場合)
配偶者:1/2
実子:1/6ずつ
養子:1/6
となります。
(2)被相続人に配偶者と親がいる場合(子ども・孫はいない)
相続人となるのは、配偶者と親(※配偶者の親は相続人にはならない)
相続する財産の額は・・・
配偶者が2/3
親が1/3(両方の親(父・母)がいる場合は、1/6ずつ)
(3)被相続人に配偶者と兄弟がいる場合(子・孫も両親もいない)
相続人となるのは、配偶者と兄弟です。
相続する財産は・・・
配偶者が3/4
兄弟が相続財産の1/4を人数で分け合う
配偶者がすでに亡くなっている場合
(1)お子さんがいる場合
お子さんが全額相続します。
お子さんが複数いる場合は人数分で分けることになります。
(2)お子さんもすでに亡くなっている場合(孫もいない)
親御さんが全額相続します。
母親も父親も健在ならば半分ずつということになります。
(3)お子さん・お孫さん・親御さんもすでに亡くなっている場合
兄弟姉妹が全額相続します。
兄弟姉妹が複数人いる場合は、人数分で分けることになります。
お孫さんがいる場合
(1)子がすでに亡くなっていて、孫がいる場合
親御さん・兄弟姉妹は相続することができず、お子さんが相続する分をお孫さんが相続することになります。
これを代襲相続といいます。
※あくまでも基本・原則的なことしか記載しておりません。
何かご不明点等ございましたらお気軽にお問い合わせください。
遺言書って何?
遺言書はどんなことを書くの?
遺言書とは、自分がなくなったときの遺産の配分や子の認知等、一定の意思表示を示し、その意思表示に法的効果を与えたものです。
あくまでも、遺言により法的な効果を持たせることができる行為は限られており、葬儀の方法等について書いても、法的効果は発生しません。
ちなみに、
法的効果がある=強制力がある
法的効果がない=強制力がない
と思っていただいて結構です。
これらの、法的効果が発生しない事項については、エンディングノートにまとめて、残った家族に思いを伝えるとよいのではないでしょうか。
エンディングノート:自分の一生を振り返ったり、残される家族へのメッセージ、自分の死後こうしてほしいという希望等を書き連ねていきます。法的効果のない遺言のようなものですね。
遺言の種類は?
普通方式 |
||
特別方式 |
死期が迫ったものがする遺言 |
この中でも用いられる遺言書の方式のほとんどが、自筆証書遺言と公正証書遺言であるのが実務上の現実です。
(1)自筆証書遺言
文字通り、自分で書いて自分で保管する遺言書。
メリット
・ 制約が他の遺言書に比べて少なく書きやすい。
・手間があまりかからない。
・書き直しが容易。
デメリット
・ 自由に書けるといっても遺言書として認められるには一定の要件が必要であり、専門家に頼らずに書くと、要件不備で無効となることが多い。
・本人が書いたものであるかの証明が難しい。
・偽造されるおそれがある。
(2)公正証書遺言
公証役場で、公的に保障してもらえる遺言書。
メリット
・偽造のおそれが少ない。
・本人が書いたものであることの証明が容易。
・プロが作成してくれるため無効となるおそれが少ない。
デメリット
・手間と費用がかかる。
・書き直しにも手間と費用がかかる。
(3)秘密証書遺言
遺言状を封じ、公証人に一定事項を記入してもらい、証人と遺言者が署名する、というもの。
内容が秘密にできるというメリットはあるが、手間がかかり、書き直しも不便ということで、実務上、ほとんど用いられない。
(4)特別方式の遺言
名前のとおり、特別な場合にしか利用できません。
特別方式で想定される場面は主に次の四つです。
①病気等で死亡の危急に迫った場合
②伝染病で隔離されている場合
③船舶中にある場合
④船舶遭難に遭い、船中で死亡の危急に迫った場合